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65歳からの仕事|年齢の壁・年金との両立・採用される職種を整理する

最終更新:2026年6月4日
65歳からの仕事|年齢の壁・年金との両立・採用される職種を整理するのイメージ

「65歳という節目が近づいてきた。まだ働く気力も体力もある。でも、この年齢で採用してもらえるのか。年金をもらいながら働くと損をしないか——」

そんな不安でなかなか一歩を踏み出せない方へ、先に答えをお伝えします。

65歳からの就業を後押しする法的な枠組みはすでに整いつつあります。 総務省「労働力調査」(2024年)では65〜69歳の就業率は53.6%と公表されており、この年代の約半数がすでに働いています。「65歳以上は働けない」という思い込みは、実態と合っていません。

この記事は「年齢で断られないか」「年金と仕事をどう両立させるか」という2つの壁に絞り、法律・制度・職種の実態を整理します。定年後の働き方の選択肢全体を見渡したい方は定年後の仕事、60代前半・後半の年代別の選び方は60代の仕事も合わせてご覧ください。

壁の中身が分かると、65歳からの仕事が「諦めるもの」ではなく「選び方次第で選択できるもの」として見えてきます。


65歳の「採用されないのでは」という壁

ハローワークの窓口で相談する65歳前後のシニアの様子。落ち着いた雰囲気
65歳以降の就業機会を確保する法的な枠組みは、着実に広がっている。

高年齢者雇用安定法が変わった

2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保は義務、70歳までの就業機会確保は努力義務となりました。具体的には以下のいずれかの措置を講じることが企業に求められています。

  • 70歳までの定年引き上げ
  • 70歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年廃止
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで社会貢献事業に従事できる制度の導入(社会貢献活動を実施する法人との契約による)

「努力義務」は企業に法的な罰則が直接かかるものではありませんが、制度整備の方向は明確に70歳就業に向かっています。

厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」(令和7年)によると、70歳まで働ける環境を整えた企業は34.8%(約3社に1社) に達しています。5年前と比べると着実に割合は上がっており、65歳以降の働く場は法律の後押しによって広がっています。

出典:厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告(令和7年)」

65歳以上の就業率は約半数

総務省「労働力調査」(2024年)では、65〜69歳の就業率は53.6% と公表されています。この年代の2人に1人がすでに何らかの形で就業を続けている計算です。

「65歳を過ぎると職場からは遠ざかるもの」という感覚は、統計が示す現実とずれています。理由の一つは、上述の法改正による企業側の受け皿整備にあります。もう一つは、観光業・農業・物流・清掃などシニア人材を積極的に必要としている産業が、人手不足を背景に採用条件を柔軟にしていることです。

出典:総務省「労働力調査」(2024年)

「年齢不問」が増えている背景

65歳以上の採用が増えているのは、政策的な後押しだけではありません。観光業・農林水産業・清掃・施設管理といった現場では、若年層の応募が集まりにくく、シニアを長期的に確保したいという実態的な需要があります。

「65歳超雇用推進助成金」など、シニア採用を助成する制度も整っており、企業が65歳以上を採用するインセンティブは制度面でも高まっています(助成金の名称・要件は変更されることがあるため、最新はハローワークで確認してください)。

「採用されないのでは」という不安は自然ですが、「年齢で全ての扉が閉まる」わけではありません。職種・働き方・地域を絞って探すことで、現実的な選択肢が見つかりやすくなります。


65歳からの「年金と仕事の両立」という壁

テーブルに年金通知書と手帳を広げて確認する65歳前後のシニアの様子
在職老齢年金の仕組みを把握しておくと、働き方の設計がしやすくなる。

在職老齢年金とは何か

65歳以降に老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働く場合、「在職老齢年金」の対象になります。月収と年金の合計が一定基準を超えると、超えた分の半額が支給停止になる制度です。

計算の対象になるのは老齢厚生年金のみです。国民年金(老齢基礎年金)はカット対象外です。

在職老齢年金の対象になる条件は次の2点が揃うことです。

  • 老齢厚生年金を受給している
  • 厚生年金に加入して働いている(=社会保険の加入要件を満たす雇用形態)

週所定労働時間が20時間未満・月額賃金が8.8万円未満など社会保険の加入要件を満たさない短時間・短期の働き方では、厚生年金に加入しないため在職老齢年金の計算対象になりません。

出典:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

2026年4月からの支給停止基準額

支給停止の基準額は、毎年度の物価・賃金スライドで調整されます。2026年4月時点の適用額は月額65万円です(2025年度は月額51万円でした。基準額は毎年度見直されます。出典:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」・政府広報オンライン)。

計算の仕組みは次のとおりです。

「基本月額(老齢厚生年金の月額)+総報酬月額相当額(その月の給与+標準賞与の月割り)」の合計が65万円以下 → 年金は全額支給

合計が65万円を超えた場合 → 「(合計額 − 65万円)÷ 2」が支給停止

多くの65歳からの働き方では、年金月額(たとえば月10〜15万円程度)と給与収入の合計が月65万円を大きく超えることはあまりありません。ただし「ゼロ」ではないため、自分の年金額と想定収入を足し算して事前に確認しておくことが重要です。

確認ポイント内容
対象老齢厚生年金受給中かつ厚生年金加入して働く人
2026年4月の基準額月額65万円(毎年度スライド改定)
計算式基本月額+総報酬月額相当額が65万円以下なら全額支給
国民年金(基礎年金)カット対象外
短時間・短期の働き方社会保険非加入なら計算対象外

制度・基準額は改定されることがあります。実際の影響額は日本年金機構または最寄りの年金事務所で試算・確認してください。

年金と仕事の両立で損しないポイント

在職老齢年金の詳細な計算・税金・扶養への影響については、「シニアのリゾートバイトとお金|年金は減る?税金・確定申告は必要?」でより詳しく整理しています。在職老齢年金の基準額の使い方・確定申告不要制度・扶養の壁の最新動向を合わせて読むと、両立の設計がしやすくなります。


65歳からでも採用されやすい職種・働き方

温泉旅館の売店で穏やかに接客する65歳前後のスタッフの様子
年齢上限のゆるい職種を選ぶことが、65歳以降の仕事探しの第一の判断軸になる。

年齢上限がゆるい職種の特徴

65歳以降の仕事探しでは、「年齢上限が明示されているかどうか」が最初の判断軸になります。以下の職種・業態は、比較的年齢上限が設けられにくい傾向があります。

職種・業態特徴体力負担の目安
清掃・施設管理公共施設・商業施設・リゾート施設の清掃。シルバー人材センターや派遣経由の求人も多い中(かがむ動作あり)
売店・ショップスタッフレジ・商品管理・お客さまへの案内。接客経験が活きる低〜中
施設フロント・受付補助チェックイン補助・鍵の管理・案内。立ちっぱなしが少ない低〜中
農林水産業の補助収穫・選別・梱包など。期間限定の季節雇用が多い中(屋外あり)
軽作業・仕分け物流倉庫・工場の検品・箱詰め。体を動かすがペースを調整しやすい低〜中
住み込みリゾートバイト旅館・ホテルに住み込み。寮費・食費を抑えながら働ける職種による

いずれも「この職種なら必ず採用される」とは言えません。勤務先・地域・求人ごとに条件は異なります。年齢上限が書かれていなくても採用可能な範囲は面接で確認が必要なことがあります。

住み込みのリゾートバイトが選択肢になる理由

観光業のリゾートバイト(派遣)は、シニア歓迎の求人がみられる分野の一つです。住み込みであるため生活費(家賃・食費)を抑えながら働ける勤務先が多い点が、年金収入とのバランスを取りやすい理由でもあります。

年齢上限のゆるさ・体力に優しい職種の選び方については「60代のリゾートバイト|採用・体力・健康の不安に答える」で詳しく整理しています。60代の不安として書かれていますが、65歳以降にも共通する内容です。

リゾートバイト全体の基礎知識(仕組み・流れ・準備)は「シニアのリゾートバイト完全ガイド」を参照してください。

ハローワーク・シルバー人材センターも並行して使う

65歳以降の仕事探しでは、複数のルートを並行して使うことをお勧めします。

ハローワーク: 65歳以上向けの求人検索に対応。「生涯現役支援窓口」(65歳以上専用の就職支援を行う窓口)を設けているハローワークもあります。

シルバー人材センター: 地域の65歳以上を対象に、清掃・軽作業・家事支援など短期の仕事を紹介する公益団体。月単位・週単位での働き方を探したい場合に合いやすい。

民間の派遣会社: シニア向け求人を扱う会社が増えています。リゾートバイト・清掃・施設管理など職種に特化した会社もあります。

複数のルートを使い、「自分の体力・希望する働き方・年金との兼ね合い」を伝えながら求人を絞り込んでいくことが現実的なアプローチです。


65歳から仕事を始める前に確認しておくこと

年金事務所に在職老齢年金の影響を試算してもらう

働き始める前に、自分の年金月額と想定収入を年金事務所へ持参して試算を依頼することをお勧めします。年金定期便に記載されている老齢厚生年金の月額と、求人票の給与を合算した数字が月65万円(2026年4月時点)と比べてどれくらいかを確認するだけでも、見通しは立てやすくなります。

日本年金機構のウェブサイトからも在職老齢年金の計算ツールを利用できます。

社会保険の加入要件を事前に確認する

厚生年金に加入することになるかどうかは、週の労働時間・月額賃金・雇用期間の長さで決まります。「厚生年金に加入したくない(在職老齢年金の計算対象になりたくない)」という場合は、週20時間未満・月額8.8万円未満などの条件にとどまる働き方を選ぶことで対象になりにくくなります。ただし要件の詳細は会社・勤務先ごとに異なるため、必ず登録前にコーディネーターや採用担当者へ確認してください。

なお、月額賃金8.8万円以上という社会保険加入要件の一つは、2025年6月に成立した年金制度改正法により撤廃される見込みです(施行日は最低賃金の動向を踏まえて政令で定められる予定で、2026年10月が有力とされていますが確定ではありません)。勤務時期によって判定基準が変わるため、最新の要件を確認してください(出典:厚生労働省)。

雇用保険・失業給付との関係も確認を

65歳以降に新たに雇用される場合、雇用保険の「高年齢被保険者」として加入するケースがあります。高年齢求職者給付金(失業給付に相当)の受給要件が65歳未満と異なる点も、前の職を辞めて間もない場合は確認しておくと損を防ぎやすくなります。詳細はハローワークで確認できます。


よくある質問

Q. 65歳からでも正社員や派遣の仕事に採用されますか?
A. 高年齢者雇用安定法の改正(2021年施行)により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となっています。厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」(令和7年)によると、70歳まで働ける環境を整えた企業は34.8%(約3社に1社)に達しています。採用の可否は職種・会社・地域によって異なりますが、年齢不問の求人や高齢者歓迎の職場は着実に増えています。登録・相談ベースで一度コーディネーターや窓口に問い合わせてみることが、可能性を確かめる最初の一歩です。

Q. 年金を受け取りながら働くと年金が減りますか?
A. 老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働く場合は在職老齢年金の対象になります。2026年4月時点の支給停止の基準額は月額65万円で、年金月額と給与の合計がこれを超えた分の半額が停止されます。国民年金(老齢基礎年金)はカット対象外です。社会保険の加入要件を満たさない短時間・短期の働き方では、在職老齢年金の計算対象になりません。制度・基準額は改定されることがあるため、最新は日本年金機構または年金事務所で確認してください。

Q. 65歳からでも年齢上限なしで働ける職種はありますか?
A. 住み込みのリゾートバイト・軽作業・清掃・施設スタッフ・農林水産業の補助など、年齢上限を明示しない職種は一定数あります。特にリゾートホテルや旅館の裏方・売店・受付系は体力負担が比較的少なく、シニア歓迎の求人が増えています。職種の詳細や会社ごとの年齢条件は、登録時にコーディネーターへ確認するのが確実です。

Q. ハローワーク以外で65歳からの仕事を探す方法はありますか?
A. 派遣会社・シルバー人材センター・民間の就職支援サービスなど複数の窓口があります。住み込みで生活費を抑えながら働くリゾートバイトの派遣会社も選択肢の一つです。複数のルートを並行して使い、自分の希望(労働時間・勤務地・職種)に合う求人を比較することをお勧めします。


まとめ

  • 65歳以降の就業の場は法律で後押しされている。改正高年齢者雇用安定法で70歳までの就業機会確保が企業の努力義務に。厚生労働省の報告では70歳まで働ける環境を整えた企業がすでに約3社に1社(34.8%)。総務省「労働力調査」(2024年)では65〜69歳の就業率は53.6%と、この年代の約半数がすでに就業を続けている
  • 年金との両立は「在職老齢年金」の仕組みを把握することで設計できる。2026年4月の支給停止基準額は月額65万円。多くの働き方では合計がこの水準を超えないが、自分の年金月額と想定収入を足して年金事務所で事前確認するのが安心。詳細は年金と仕事の両立記事で整理している
  • 年齢上限がゆるい職種を選ぶことが先決。清掃・売店・受付補助・農業補助・住み込みリゾートバイトなどは年齢不問の求人もみられる。体力に優しい職種の選び方は60代のリゾートバイト記事が参考になる
  • 複数のルートを使う。ハローワーク・シルバー人材センター・派遣会社を並行して使い、年金との兼ね合いを伝えながら自分に合う求人を絞り込む。シニア歓迎の派遣会社の比較は派遣会社おすすめ比較ハブでまとめている

「65歳では遅い」という思い込みより、「どの職種・どのルートで探すか」の問い直しが、現実的な仕事探しの入り口になります。